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「パンプシェード」の類似品について

2022年7月の下旬、大手出版社である株式会社宝島社(以下「宝島社」といいます。)がベーカリー・カフェを展開する株式会社ヴィ・ド・フランス(以下「ヴィ・ド・フランス社」といいます。)とのコラボ商品(以下「本件商品」といいます。)が、私の作品である「パンプシェード」(特にクロワッサンライト)と一見類似する商品を販売されることを知りました。当社スタッフの家族、友人のほか、SNSのコメントからも、「これってパンプシェード?」という趣旨の質問やメッセージが寄せられたことがきっかけでした。

まず、お伝えしたいことは、上記宝島社が発売する本件商品については、「パンプシェード」と関係なく、当社または私がライセンスしたり、関与した商品ではありませんので、誤解のなきようよろしくお願いします。

先日、私は、あまりにびっくりして、本件について感じたことをすぐにそのままTwitterに書き連ねてしまいました。というのも、昨年10月にヴィ・ド・フランス社からの要望で、当社の製品(クロワッサンライトを含みます。)を同社企画部にお送りした経緯があったからです。その後、両社からご連絡をいただき、本件商品の企画・販売の経緯をご説明いただきました。

先方様方の説明によりますと、本件商品の企画は、昨年11月に宝島社からヴィ・ド・フランス社に持ち込まれたもので、当商品の企画時期とサンプル送付時期は重なってはいるものの直接関係性はないとのご説明でした。ただ、当社がサンプルを送付した時期と本件商品の企画時期があまりに近接していること、また、当社の「パンプシェード」を知っていたヴィ・ド・フランス社はなぜ私に本件商品の企画について宝島社に伝えなかったのか等のことを考えること、私としては先方様方のご説明をそのまま鵜呑みにすることはしづらいというのが正直な気持ちです。大手出版社と有名ベーカリーとのコラボレーションに一作家の私が入る余地などは無いのかもしれませんが、事前にやりとりがあっただけに何ら説明がなかったことも残念でなりません。

本件を機に、様々なご意見をいただきまして、「パンプシェード」に対する私および当社の思いをあらためてお伝えしたいと思います。

パンプシェード(クロワッサンライト)

「パンプシェード」は、本物のパンからできたインテリアライトで、「パン」と「ランプシェード」の造語です。私が大学生であった2008年ごろに考案し、2011年ごろから商品として販売しています。パン屋さんに勤めていたことがきっかけでパンが大好きになり、その魅力をどう表現しようかと試行錯誤を重ねた先に辿り着いた作品です。開発当初は「パンの照明」という商品は私の知る限り存在せず、パンの防腐・防カビの加工技術やパンに最適な照明部品の調達など、ゼロから一つ一つ失敗を繰り返し、改良を重ねて今に至ります。最近はようやく、自分でも「完成に近い」と思える仕上がりにまでたどり着くことができました。現在は複数のベーカリー様にご協力いただき、ロスパン(前日売れ残ってしまったパンや、製造過程で出る余り生地、賞味期限の近い冷凍生地など)を積極的に活用した制作体制を構築し、アップサイクルなモノづくりを行っています。本物のパンから溢れ出す温かな明かりには、一点一点個性があり、不思議と引き込まれるようなあたたかな魅力があります。近年は、パリやニューヨーク、アムステルダム、ジュネーヴなど様々な場所で作品を展示・販売しており、少しずつではありますが海外でも認知度が上がってきました。パンの照明やBread Lampで調べていただくと、「パンプシェード」をたくさんご覧いただけるかと思います。

活動コンセプトは、アートの力でパンの魅力を伝えること。あたたかくってやさしくて、なんだか思わずほっこりするような魅力を持つパンのいち愛好家として、今後もさまざまな形でパンの魅力を発信する活動を行っていきたいと考えています。

そしてもう一つ、私が事業を開始した約10年前から静かに思い続けていることは、「この活動を通じて、私の周りの人と、そのもうひと周り先の人を今より少し幸せにする」ということ。世界中の多くの人に大きなインパクトを与えるようなそんな大きなことは到底無理。ならせめて、購入いただいた方だけでなく、活動を通して関わる人々を今より少し幸せにできるような活動がしたい。例えばパンを絶対に買い叩かないこと。スタッフの働く環境に心を砕き改善し続けること。心ある信頼できる人や会社に仕事を依頼すること。しっかりとコンセプトを伝えてくれる販売店に卸すこと。専門家から見たら笑われてしまうかもしれません。でも、本気です。まだまだ私は未熟者で、至らない点も多くありますが、小さく熱い思いを、今改めて胸に刻みたいと思います。

「パンプシェード」のファンの皆様やこの活動に共感・協力してくれる皆様に改めて感謝を申し上げるとともに、これからは、私自身の(今は複数のスタッフが手掛けてくれているので、自分たちの)作品にもっと誇りを持って、変わらず皆様に喜んでいただける作品作りを届けてまいりたいと思います。今後の活動にご期待いただければ幸いです。

2022年8月8日
森田優希子

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